ジョルジョ・ヴァザーリにおいてのモナ・リザ

「ラ・ジョコンデュ」か「ジョコンダ婦人、モナ・リザ」と言われているフランテスコ・デル・ジョコンド妻であるジェラルディニーの肖像画
「ラ・ジョコンデュ」か「ジョコンダ婦人、モナ・リザ」と言われているフランテスコ・デル・ジョコンド妻であるジェラルディニーの肖像画

下記のモナ・リザの描写はジョルジョ(Giorgio)( )ヴァザーリ(VASARI)によって書かれ、1550年にフィレンツェで出版された。
これは最もよく知られ、最も古く、最も信頼に値するものである。それで、その後の描写のほとんどに影響を与えた。
ヴァザーリは自分自身が見たことのない絵画を描写している。なぜなら、絵画が当時フォンテーヌブローにあって、ヴァザーリがそこまで足を運んだことは一回もなかった。
描写は、その作品の評判について教えてくれる。1503年にフィレンツェで施されて、レオナルド・ダ・ヴィンチはそこで4年間没頭して、「リザ婦人」という「マドナ・リザ」〔省略すると、モナ・リザ〕の指名で、フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻を表している。 この描写は何よりもヴァザーリにとっての価値を理解することも可能にしているのです。


その後、(レオナルド)は、フランチェスコ・デル・ジョコンドのために、その妻モナ・リザの肖像画の制作を引き受けたが、4年間努力した末に未完成のまま残した。
この作品は現在、フランス国王フランソワのもと、フォンテヌブロにある。
芸術による自然の模倣がどのようなことであるのかを知ろうとした者は、その顔の前に立てば、それが苦もなくわかった。 絵画の精妙さが可能にしてくれるあらゆる細部が、そこに描かれていたからである。
眼は、生きているものに絶えず見られるような、輝きと潤いをもっている。
その周囲は、赤味がかった鉛色の微妙な色合いをつけられ、まつ毛もまた、きわめて繊細な感覚なしには描きえないものである。
眉毛は、肌からの毛の生え具合いが濃かったり薄かったり、また毛穴によっていろいろな方向を向いている様が、きちんと描かれているので、これ以上真に迫っていることはあり得ない。
ばら色で柔らかな、美しい鼻孔をもったその鼻は、まるで生きているようであった。
口はその開き具合や、唇が赤く彩られているところ、顔の血色などからして、色を塗られたのではなく、本当に肉そのもののように見えた。
咽喉のくぼみのところを注意深く観察する人は、血管が脈打つのを認めることができよう。
このようなやり方で描かれた絵は、最も力ある芸術家を、それが誰であっても、恐れおののかせるものであるということができる。
彼はまたつぎのような工夫もした。モナ・リザがきわめて美しかったので、彼女を陽気な気持ちに保とうとして、肖像画を描いているあいだ、音楽を奏し歌を唄う者を、また絶えず(どう)()()をそばに呼んでおいたのである。 肖像画においてしばしば見られる、あの憂鬱な印象を取り除くためである
レオナルドのこの作品に見られる微笑みは、あまりにも魅惑的なので、それを見ると人間のものというよりも神のものという印象を受け、そして生命さながらに驚嘆すべきものと思われたのである

ジョルジョ(Giorgio)( )ヴァザーリ(VASARI)、『画家・彫刻家・建築家列伝(le vite de' piu eccelenti pittori, scultori e architettori) 』、第4巻。

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