テイレシアス

ヴェルサイユの大トリアノン宮殿にある、ルネ=アントワーヌ・ウアス、《ミネルヴァとテイレシアス》絵画
手前に見えるミネルヴァが真ん中にいるテイレシアスを見えなくさせている

大トリアノン宮殿(le Grand Trianon)に展示されている ルネ(René)(-)アントワーヌ(Antoine)()ウアス(Houasse)が描いた「ミネルヴァ(Minerve)(et)テイレシアス(Tirésias)」絵画が領主たちの控えの間(le Salon des Seigneurs)に見られます。
オウィディウス(Ovidius)が書いた「変身物語(Metamorphoseon)」に出て来る、賢くさの女神であるミネルヴァ(Minerva)テイレシアス(Tiresias)との不思議な言い合いが語られている。

テイレシアス

316 地上では、運命のさだめどおり、これらの出来事が生じていた。 二度の誕生を経験したバッコスの幼年期も、平穏無事だった。 ちょうどそのころのはなしだが、たまたま、ユピテルは、神酒(ネクタル)に陶然として、わずらわしい悩みを忘れ、これも()(りょう)をかこっていたユノ一を相手に、くつろいだ冗談をとばしていたというのだ。

320 ユピテルは「これは確かなことだが、女の喜びのほうが、男のそれよりも大きいのだ」といった。 ユノーは、とんでもないとそれを否定する。 そこで、もの知りのテイレシアスの意見を聞こうということになった。 この男は、男女性の喜びを知っているからだが、それにはわけがある。

あるとき、彼は、緑濃い森のなかで交尾している二匹の大きな蛇を、杖ではげしくなぐりつけたことがあった。 すると、(不思議なことに!)男であったテイレシアスが女に変わり、そのまま七秋を過した。 八秋目に、ふたたび同じ蛇たちに出くわして、こういった。 「おまえたちを打つことが、その人間の性を変えるほどの力を持っているなら、もう一度おまえたちを打つことにしよう」この同じ蛇をなぐりつけると、もとの姿と自然状態 がもどって来た。

いま、冗談めいたの裁定者に選ばれると、彼はユピテルの意見のほうを正しいとした。 ユノーは、もともと大した問題でもないのに、必要以上に気を悪くして、その裁定者を罰し、彼の目を永遠の闇でおおった。

337 しかし、全能の父なる神は――ある神がおこなったことを無効にすることは、どんな神にも許されないので――テイレシアスが視力を奪われたかわりに、未来を予知する能力を彼に与え、この恩典によって罰を軽くした。

オウィディウス、変身物語、第3巻より

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